オープンシステム(分割工事発注方式)で自宅を建てた建築主へのアンケート

「安く建てられると思った」というのが59%
「一番満足できる方法だと思った」が48%
「建築家の設計力に期待した」が47%
「建築家の監理能力に期待した」が36%
「職人さんとの 顔の見える関係に期待した」が25%


建築家は、住まいの確かな質をつくる事を目標とする。
住まいの確かな質とはすなわち、「構造躯体(スケルトン)」と「内装設備(インフィル)」である。
基礎や骨組、屋根外壁をしっかりつくり、安らぎ癒される空間や設備装置をつくる事である。
但しこの作業は常にコストと安全を秤にかけながら、試行錯誤し行われる。

ケルトンの代表的な構造は、質量の軽い順に、大きく分けると木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造がある。
ここで軽い順にとことわったのは、軽ければ当然これを支える基礎や骨組のサイズを小さくできる。
すなわち、コストを下げる事ができる訳だ。
現代の車でも、飛行機でも、船でもおよそ構造物は軽量化する事が、コストを下げる為の基本とされる。
軽量化できて、重さに対する強度(これを比強度といいます。)が大きい程、効果が大きい訳である。

直感力にすぐれた日本人は、このような構造力学的な事は、わからないでも日本古来の在来木造軸工法を永い間、いや現代でも深化(進化)発展させながら使ってきた。
ただ軽量化する事で発生する問題もある。
軽いがゆえに、風に対す問題や遮音、振動、等の質量則に関係するトラブルが発生しやすい。ヌ木という材料の特性からくる、腐朽や虫害、可燃性の問題もある。

逆に重い方の鉄筋コンクリート造はどうだろう。
質量則に関係する風や遮音、振動等に対しては極めて効果があるが、自重が重いがゆえに基礎やそれを支える地盤、骨組等の強度を増す事が必要となる。

その点鉄骨造は、非常にバランスの良い構造である。大空間のインフィルを合理的に構成できる。
私は、オープンシステム(建主直営分割発注工事システム)で住宅を設計する場合は、様々な工夫をした鉄骨造を基本構造に設計しています。

ホームシアターのある都市住宅

 
ホームシアターが大人気だ、迫力の画面、音響効果など体感すれば病み付きになりそうだ。
が、建築的にはとても、難しい要素を含んでいる。
その一つが内外からの音対策、遮音、防音、吸音対策など。
建築工学を学んだものにとってその難しさは、映画館、音楽ホールを設計するのと変わらない。
普通この手の用途の部屋は、地下室かコンクリート建物の閉ざされた部屋でやることが定説だ。
鉄骨造の住まいの中、リビング、食堂、厨房、サンデッキテラスに続く空間で、
家族全員がいつも一緒にいる、日常性のある場所で実現させた。

まるでいつも映画館か音楽ホールにいるような感覚で、過ごせるのはとても素敵なことである。

家族の勉強コーナー・カウンター

  完成時
  現在

3階北側の家族の勉強コーナー・カウンター。お父さん、お母さん、お子さんのそれぞれの居場所がある。

お子さんは、幼稚園から帰るとまず奥の学用品置き場に通園カバンを置き、自分のお気に入りのこの場所でスタディされるそうだ。

クローズドタイプの子供室を希望される家庭が多いが、幼児期に家族の情感を育む場所としての、勉強する場所やコーナーを建築家は検証する必要がある。

ホームシアターのある住まい

北側道路に面する外観には、通風と展望用の窓以外あいていない。
前を通行する人は皆、中はどうなっているのだろう、不思議な建物だという感じで、通り過ぎていくそうだ。
あるときなど、ハウスメーカーの営業マンが訪ねて来て、中を見せてもらえないかと言われた事もあったとクライアントは、言われていた。

内部は、外観から想像できない明るさで、2階のリビング、厨房、食堂、テラス、和室、洗面、トイレ、階段、吹き抜けをファミリィのワンルームとして設計されている。家族が集える充分の広さがある。

映画や音楽を100インチホームシアターの大画面と5.1ch立体音響の大迫力で観賞、その大音響のサウンドは想像を絶する迫力がある。さしずめ家族のための映画館かコンサートホールである。
窓には一切カーテンがついてない。他人の目を気にせず過ごせるオンリーワンの空間がここにある。