建築家は、住まいの確かな質をつくる事を目標とする。
住まいの確かな質とはすなわち、「構造躯体(スケルトン)」と「内装設備(インフィル)」である。
基礎や骨組、屋根外壁をしっかりつくり、安らぎ癒される空間や設備装置をつくる事である。
但しこの作業は常にコストと安全を秤にかけながら、試行錯誤し行われる。

ケルトンの代表的な構造は、質量の軽い順に、大きく分けると木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造がある。
ここで軽い順にとことわったのは、軽ければ当然これを支える基礎や骨組のサイズを小さくできる。
すなわち、コストを下げる事ができる訳だ。
現代の車でも、飛行機でも、船でもおよそ構造物は軽量化する事が、コストを下げる為の基本とされる。
軽量化できて、重さに対する強度(これを比強度といいます。)が大きい程、効果が大きい訳である。

直感力にすぐれた日本人は、このような構造力学的な事は、わからないでも日本古来の在来木造軸工法を永い間、いや現代でも深化(進化)発展させながら使ってきた。
ただ軽量化する事で発生する問題もある。
軽いがゆえに、風に対す問題や遮音、振動、等の質量則に関係するトラブルが発生しやすい。ヌ木という材料の特性からくる、腐朽や虫害、可燃性の問題もある。

逆に重い方の鉄筋コンクリート造はどうだろう。
質量則に関係する風や遮音、振動等に対しては極めて効果があるが、自重が重いがゆえに基礎やそれを支える地盤、骨組等の強度を増す事が必要となる。

その点鉄骨造は、非常にバランスの良い構造である。大空間のインフィルを合理的に構成できる。
私は、オープンシステム(建主直営分割発注工事システム)で住宅を設計する場合は、様々な工夫をした鉄骨造を基本構造に設計しています。